おじさんの嘆きその2

15.jpg
煎餅屋を後にして、今度は「しみずや」というパン屋に寄った。
夕方だったので、もう閉まってるかな? と思ったが
開いていた。けど、パンは食パン2斤と、あとはシベリアとマドレーヌと
ラスク、そしてこのくまちゃんクッキーしか残ってない。
ここもまた小さく古い、対面式の店だ。
懐かしい惣菜パンが人気。

私が何にしようかなと考えている間、
おじさんの目はテレビに釘づけだ。
愛川欽也の追悼番組をやっている。
お金を渡しながら「死んじゃいましたね」と言うと
「同い年だから重大事件」と言う。
「人ごとじゃない」と言わず「重大事件」だ。
「誕生日が3か月違いなの。学童疎開の世代でさ・・・」
おじさんは、でもなんだか嬉しそうにニコニコして話す。
「昭和9年。1934年」

客商売だから職業病のようなものなのだろうか。
お客と話すときは、内容がどうであれ
ニコニコと愛想よく話してしまうのだろう。

しかめっ面で何か言ってる人の店には
近寄りたくないものなあ。

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

プロフィール

もとしたいづみ

Author:もとしたいづみ
絵本・童話作家やってます。
エッセイ集『レモンパイはメレンゲの彼方へ』(集英社)
幼年童話『うめちゃんとたらこちゃん』絵・田中六大(講談社)
絵本『せつぶんセブン』絵・ふくだいわお(世界文化社)など

ツイッターは
もとしたいづみ
(@motoshita123)

最新記事
検索フォーム