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もんなか

121208_0955~010001


活弁の稽古場は門前仲町なので
「門仲」には月に一度行く。

前回はちょうど二の酉だったので
始まる前に、ぴゅーっと富岡八幡宮に行き、
お参りは失礼して(すごい行列の横をすり抜け奥へ)
熊手をもらって(買うんだが)お祓いしてもらった。

今回は、何度か絵本をご一緒した絵描きさんが
門仲在住なので、稽古の前にちょいとお喋りできたら
と、誘ってみた。

でも半端な時間だからどこ行く?
おでんやはまだやってないし、甘味屋もいいけど
いかにも門仲な古い店・・・
「魚三は?」
彼女の提案に
「行く行く行く!」
魚三は、私の憧れの店だ。
古くからある大衆居酒屋。
若い頃から何度も前を通っているが
ひとりじゃちょっと入れないし、
そもそも飲めないのに、ふらっと女が一人で
暖簾をくぐれる雰囲気ではない。
ああ、私がおやじだったらなあ。
うだつの上がらないサラリーマンのおやじだったら。
頭の薄い、ぺっらぺらのコートを着たおやじだったら。
気の弱そうな、何も決断できないおやじだったら。
もう、いい?

と思いながら、いつだって混んでいるその店の前を通り過ぎて
いつの日にか、大人になったら入ろうと思いつづけて
もう相当な大人になった今も行けずにいた店だった。
「やってるの?」
「4時から!」

でもあの行列はなんだと思う?

4時5分前の「魚三」には
ものすごい行列が。
4時の開店と同時に入店し、飲もうという人が
こんなにもいるのか!
と、びっくりしていたら
「抽選やってるんで」
と、行列最後尾の前の店(たしかパチンコ屋)で
太った若い男性に声をかけられた。

は? 抽選? あたしたち、これからここに並ぶのよ
と通り過ぎようとしたけど、抽選箱を差し出すので
ま、並ぶだけだし、ひくだけひく? と
手を差し込んだ。

これが抽選商法だと、そのときは知らなかった。
つづく。
たぶん。

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もとしたいづみ

Author:もとしたいづみ
絵本・童話作家やってます。
絵本『ほしのさんちの おそうじだいさくせん』(つじむらあゆこ絵 ポプラ社)
絵本『ドーナツやさんのおてつだい』(ヨシエ絵 絵本ナビ)
翻訳絵本『あかちゃん新社長がやってきた』(マーラ・フレイジー作 講談社)
エッセイ集『レモンパイはメレンゲの彼方へ』(集英社)

ツイッターは
もとしたいづみ
(@motoshita123)

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