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かぶとむしのにおい


この間、近所の温泉の沓脱で
本を読みながら人を待っていた。
なかなか来ないから、次々人がやってきて
靴を脱いで上がっていったり、
靴を履いて出て行く。

むうう~~~~ん

三十代後半の男性が、慌てて入って来て
靴を脱ぎっぱなしで上がって行った。
忘れ物でもしたのだろうか、と思った矢先の
強烈な臭い。

ぐわあ

こ、このむちゃくちゃ臭いにおいは
あの黒い靴から発している!
てらっとした通気性の悪そうな
この暑い日にショートブーツだ。

1,5メートル離れている靴から
ものすごい悪臭がやってきて
このけっこう広い空間に充満したのは
あっという間のことだったろう。

今までの私の人生の中で、うっかり嗅いでしまったり
または恐る恐る嗅いでからのけぞった
古靴下臭や、深夜の中央線で隣の酔っ払いのおっさんが
いきなり脱いだ靴の臭いなんかとは
比べものにならない。

一体どうしたらこんな臭い靴になるんだ!!
と思っていたら、戻って来た。

私は少し吸って、たくさん吐く、という呼吸を
無意識のうちに続けていた。しかも口呼吸で。
口呼吸も忌々しいが、ダイレクトに嗅覚に来るよりはましだ。
でも、いつまでも慣れることのない、この世のものではないような臭いにたまらず
いつしか私は自然と息を止めていた。

男はばたばたと戻って来て
靴を履いて出て行った。
おそるおそる息を吸ってみた。

うわあ、まだまだ臭い。
外に出ようか。
でもそれも悔しいし、外は蚊がすごいんだよなあ。
じきに臭いも薄れるだろうと
耐えてみては、ちょっと吸う。
ううむ、手ごわい。
またちょっと吸う。

少しは臭いが薄くなった頃、家族連れが出て来た。
両親が話しているとき、小学校の2年生ぐらいの女の子が
「ねえ、かぶとしむしの臭いがする! ねえねえ
どうしてかぶとむしの臭いがするの? かぶとむしの臭いがする!」
と言い出したが、親は無視だ。
もしかしたらこれが強烈な靴の臭さだと知って
そこにひとりしかいない私が発するものだと思い
気を使ってコメントを避けているんだろうか。
だとしたら誤解だ!

しかしカブト虫って、こんな臭いだっけ?
記憶の嗅覚の棚をさまよってみようとするが
さっきの強烈な奴が、もう臭いは
何ひとつ思い出せないように立ちふさがっている。

今度、カブト虫がいたら臭いを嗅いでみようと思う。
その温泉の近所に、無農薬有機栽培のブルーベリー農場があって
運よく売っている時間にあたると私は必ず買う。
そこではクワガタも同時発売しているのだけど
クワガタとカブト虫の臭いは違うのだろうか?
そこのブルーベリーには何の罪もないが
なんとなく・・・イメージダウン。

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もとしたいづみ

Author:もとしたいづみ
絵本・童話作家やってます。
写真はまもなく発売『10ぽんのぷりぷりソーセージ』(ほるぷ出版)
絵本『ほしのさんちの おそうじだいさくせん』(つじむらあゆこ絵 ポプラ社)
絵本『ドーナツやさんのおてつだい』(ヨシエ絵 絵本ナビ)
翻訳絵本『あかちゃん新社長がやってきた』(マーラ・フレイジー作 講談社)
エッセイ集『レモンパイはメレンゲの彼方へ』(集英社)

ツイッターは
もとしたいづみ
(@motoshita123)

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