ぽっぽー

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ベランダに鳩がやたらと来る。
来すぎる。
戸を開けて、前に立ちはだかっても
びくともしない。
これはもしや巣を作る場所として
うちのベランダが候補に挙がっているのではないだろうか。

卵を産むのはいいが、大抵ほっぽって
いなくなっちゃうからなあ。糞の処理も大変だし、
ベランダの掃除ができない。しないけど。

と思っていたら、隣のおじさんがぴんぽ~んと来た。
え、なんだろ? と出ると、そこで初めて
勢いで隣にまで来てしまった自分に気づいたみたいに
おじさんはうろたえて「あ。え。す、すみません」と謝った。

「おたくのベランダにさ、鳩が巣、作ろうとしてますよ」
会えば挨拶はするが、喋ったのは初めてだ。
数年前に引っ越して来た一家で、おそらくおじさんは
江戸っ子な感じだ。「あー、こんちは!」といつも威勢がいい。
奥さんと子どもふたり(ひとりはもういないようだが)
こちらが挨拶しても目を逸らすシャイな感じ。

「鳩、口に枝くわえてさ、来てる」
と、自分の口に枝をくわえる動作をする。
完全に鳩になりきっている。

「あー、なんか最近よく来てるなあと思ってたんです」
「前にうちで卵産まれちゃってさあ」
「うちでもありました」
「だからちょっと注意して見てた方がいいですよ」
「はい、そうします。ありがとうございます」

と教えてくれたからには、ベランダに卵産まれてはまずい。
鳩が来るたびに、戸を勢いよく開けたりした。
特にお隣との間はまずい。
隣から東の方は、外装工事が始まるのだ。

150814_1126~01
近づくと羽を広げて飛んでいった。
しかしそうそうベランダを眺めているわけにいかない。
気配があれば、できるだけ「ここには人がいるの」と
知らしめるべく、派手に戸を開けたりしていた。
んだけど・・・。

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プロフィール

もとしたいづみ

Author:もとしたいづみ
絵本・童話作家やってます。
エッセイ集『レモンパイはメレンゲの彼方へ』(集英社)
幼年童話『うめちゃんとたらこちゃん』絵・田中六大(講談社)
絵本『せつぶんセブン』絵・ふくだいわお(世界文化社)など

ツイッターは
もとしたいづみ
(@motoshita123)

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